発明 Vol.100 2003-8
判例評釈
キューピーの人形等を複製頒布した被告らの行為が先に発行された別の
キューピー人形のイラストを原著作物としてこれを立体的に表現した点に
おいて創作性を有する二次的著作物の著作権を侵害しないとされた事例
    〔《1》事件 東京高裁 平成13年5月30日判決平成11(ネ)6345号,判例タイムズ1106号210頁
 《2》事件 東京高裁 平成13年5月30日判決平成12(ネ)7号,判例タイムズ1106号210頁〕
野一色 勲
<事実の概要>

 原告X(但し《2》事件原審では独立当事者参加)は,ローズ・オニール(1874年生まれ,1944年没)が創作したキューピー人形(本件人形)の著作物(本件著作物)の著作権(本件著作権)を有すると主張し,被告YKに対する訴え《1》事件,及び被告YBに対する訴え《2》事件を提起した。他事件で,YKを商標権者とする登録商標「キューピー人形の図形」及び「キューピーの片仮名文字」の登録無効審判請求棄却の審決に対し,Xから審決取消の訴えがあり棄却されている(東京高裁平成13年5月30日判決平成12(行ケ)386号,東京高裁同日判決平成12(行ケ)387号,両事件とも判例タイムズ1106号210頁)。
 《1》事件では,YKがキューピー人形の図柄「YKイラスト」を商標,商品容器,包装,広告等に複製,頒布,放送等すること及び「YK人形」を複製,頒布することによる著作権(複製権,翻案権)の侵害の差止め,「キューピー」の本件商品等表示がXの著名な商品等表示として不正競争行為に当たるので,商号及び商標における「キューピー」の使用禁止,ドメインネームkewpie.co.jpの使用禁止,商号から「キューピー」の部分の抹消登記,10億円の損害賠償等を請求した。
 《2》事件では,YBがキューピーの図柄「YBイラスト」を広告物等に複製使用すること及び「YB人形」を複製し景品等に使用することによるXの著作権(複製権,翻案権)の侵害の差止め,10億円の損害賠償等を請求した。
 ローズ・オニールは,15歳ごろから画才に注目され,イラストレーターとして雑誌にイラストを寄稿しており,Yらは,ローズ・オニール寄稿の1903年作品《1》,1903年作品《2》,1905年作品,1906年作品において既にキューピーが描かれていると主張した。この主張の背景には後述のとおり,1906年以前に公表された著作物は当時の日本では公有とされ著作権の保護の対象外におかれるという可能性がある。Xが,キューピーの誕生と主張するキューピーイラストが描かれている“The KEWPIES’ Christmas Frolic(クリスマスでのキューピーたちの戯れ)”のイラスト(本件イラスト著作物)は1909年12月の雑誌に掲載された。ローズ・オニールは,そのころ,キューピーの人形を作ってほしいとの子供たちの手紙を受け取ったことから,戯れにキューピーイラストを立体的に表現して本件人形と同一の形態を有するキューピーの小さな彫像を彫ったところ,そのことを知った複数の玩具工場からキューピー人形を製造したいとの申し出を受け,人形の複製を許諾する工場を選定した。1912年ドイツでビスク製のキューピー人形が試作される。ローズ・オニールは,1912年米国連邦特許商標庁に対しキューピー人形の意匠について意匠特許登録を出願し,1913年3月4日登録された。1913年ドイツで製作された本件人形は,米国において販売され爆発的な人気を博した。
 また,ローズ・オニールは1913年11月20日米国著作権局に対し,キューピーの小さな彫像の著作物につき自らを著作権者とする著作権の登録を申請し登録された。Xの所持する本件人形は,上記登録意匠と同一の形態を有するが,そこには「(C)ROSEO’NEILL.1913」の著作権表示及び「REG U.S.PAT.OFF.DES.PAT.III.4.1913」の意匠特許表示がある。
 Xは,遺産財団から本件人形に係る本件著作権の譲渡を受けたことについて,著作権法77条1号に基づく著作権の譲渡登録を申請し,1998年8月25日に登録された。
 原審は上記認定の事実により,ローズ・オニールは,1910年ないし1912年の間に米国で本件人形と同一の形態を有するキューピーの小さな彫像を本件著作物とする本件人形を制作するとともに,本件著作物を発行したものと認めた。
 日米間の著作権保護に関する条約としては,1906年5月10日公布の日米二国間条約(日米著作権条約)がある。日米著作権条約1条(注1)は内国民待遇を約している。戦後締結された平和条約7条(a)項により日米著作権条約が1952年4月28日をもって廃棄されるまで,同条約により日米相互間に著作権に関し内国民待遇が認められた。1952年4月28日から1956年4月27日まで,平和条約12条(b)項(1)号の下に連合国民として米国人の著作物に内国民待遇が認められた。1956年4月28日以降は,日本が万国著作権条約に加入したことにより,日米間では万国著作権条約による内国民待遇が適用されることになる。なお,1989年3月1日からは,米国のベルヌ条約加盟により日米間においてもベルヌ条約の内国民待遇が適用されている。また,平和条約15条(c)項により米国人著作物の保護期間には3794日の戦時加算が考慮されなければならない。戦時加算を履行するために連合国特例法(連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律 昭和27年8月8日法律第302号)が制定されている。
 原審は,まず,Yらのイラスト等が本件人形にかかる本件著作権を侵害する複製物等であるか否かの争点を審理した。論理的先行問題はXの著作権の有無であるが,訴訟経済の観点から類似性の審理が先行したものと思われる(注2)
 《1》事件において,本件人形は1903年作品《2》及び1905年作品を原著作物とする二次的著作物であること,1903年作品《2》及び1905年作品は,日米著作権条約発効前に公表されたものであり日本での著作権保護は与えられていないので公有のものであること,原著作物たる1903年作品《2》及び1905年作品に描かれたキューピーに対比した場合に認められる本件人形の二次的著作物としての創作的表現が,YKイラスト及びYK人形に認められないこと,すなわち,本件著作権を侵害する類似がないこと,本件商品等表示がXないしローズ・オニール関係者の商品又は営業を示すものではないので不正競争の主張は認められないこと,Xは本件著作権を平成10年5月1日に譲り受けたと主張しているにもかかわらず,昭和54年ころからキューピーの図柄のデザイン制作,許諾料の請求及び商品の製造販売により,自らが本件著作権の侵害となる行為をして利益を得ておきながら,本訴において本件著作権を主張するXの請求は権利の濫用に当たること,を認定してYKに対するXの請求を棄却した。
 《2》事件においても本件人形の創作的表現を《1》事件と同様に認定の上で,二次的著作物としての本件人形の創作的表現とYBイラスト及びYB人形との間に類似がないとし,《1》事件と同様の理由でXの請求は権利の濫用に当たるとし,YBに対するXの請求を棄却した。
 《1》事件及び《2》事件ともXは控訴し,複製権侵害の差止め及びXが本件人形の著作権者であることの確認を求めた。


<判 旨>

 (判旨1〜18は《1》事件から引用,職務著作の判旨は《2》事件からの引用である。)
 本件著作物の創作性
1 「本件人形の形態は,キューピーイラストの有する上記表現上の特徴をすべて具備していることに加え,これを変形して立体的に表現したという点において新たな創作性が付与されたものと認められる。したがって,本件著作物は,ローズ・オニールがその制作に先立って創作したキューピーイラストの二次的著作物として創作性を有するというべきである。」
2 「本件著作物は,これら先行著作物と異なり,キューピーイラストの表現上の特徴をすべて備えており,これを立体的に表現したという点においてのみ創作性を有すると認められることは上記のとおりであるから,本件著作物は,キューピーイラストを原著作物とし,これを立体的に表現したという点においてのみ創作性を有する二次的著作物であるというべきであって,YK主張の先行著作物の二次的著作物ということはできない。」
美術の著作物の該当性
3 「本件著作権は,日米著作権条約及び著作権法により我が国国内において生ずる著作権であるから,権利発生の実体的要件については,我が国の旧著作権法が適用されるべきである。上記のとおり,本件著作物は,キューピーイラストを原著作物とし,これを立体的に表現した二次的著作物であるところ,キューピーイラストは,美術の著作物に属するイラストとして著作物性を有し,本件著作物は,これを立体的に表現したという点において更に創作性が付加されているから,旧著作権法1条に規定する『美術ノ範囲ニ属スル著作物』として旧著作権法により保護されるということができる。」
4 「なお,1903年アメリカ合衆国著作権法が保護の対象としていなかったものについては,日米著作権条約に規定する内国民待遇の射程が問題となる余地がないわけではないが,美術の著作物である本件著作物については,1903年アメリカ合衆国著作権法によっても保護されることは明らかであり,現に上記のとおり同国において著作権登録もされているから,この点でも,本件著作物が旧著作権法により保護を受けることに問題はない。」
著作権表示の要否
5 「本件著作物が発行された1913年当時,日米両国は,日米著作権条約により相互に内国民待遇を与えていたところ,アメリカ合衆国国民が同国内において創作,発行した著作物が,日米著作権条約及び我が国著作権法より我が国において保護を受けるためには,我が国国民の著作物及び我が国において発行された著作物と同様,何らの方式を要せず,単に著作物を創作するだけで足り,発行に際して著作権表示を付すことを要しないと解するのが相当である。」
6 「本件著作物がアメリカ合衆国において著作権表示を付さずに発行されたとしても,このことにより,我が国において旧著作権法による保護を受けることができなくなるものではない。」
意匠特許の取得
7 「仮に,1913年当時のアメリカ合衆国が意匠特許の取得により同一形態の著作物の著作権が消滅するという法制度を採用していたとしても,日米著作権条約による内国民待遇が我が国において我が国旧著作権法による保護を意味する以上,上記のとおり,本件著作権が我が国において消滅したと解することはできない。」
著作権の保護期間
8 「明治39年5月11日に公布された日米著作権条約は,日米両国民の内国民待遇を規定しており(1条),その後,昭和27年4月28日に公布された平和条約7条(a)により日米著作権条約は廃棄されたが,アメリカ合衆国を本国とし,同国国民を著作者とする著作物に対し,平和条約12条b1ii及び外務省告示により,昭和27年4月28日から4年間,引き続き内国民待遇が与えられるとともに,昭和31年4月27日までの間,日米著作権条約が有効であるとみなされた。上記の著作物については,上記4年間の経過と同時に,万国条約特例法11条に基づき,今日に至るまで引き続き内国民待遇が与えられていると解される。」
9 「本件著作権の保護期間中である昭和46年1月1日に施行された現行著作権法51条により,本件著作権が著作権者であるローズ・オニールの死後50年間とされ,また,連合国特例法4条1項により,本件著作権の保護期間について3794日間の戦時加算がされる結果,2005年5月6日まで存続することとなるから,本件著作権は,現在も保護期間が満了していない。」
10 「現在,日米両国間の著作権保護について適用される条約はベルヌ条約であり万国条約は適用されないとしても,・・・・・・万国条約特例法11条が,その趣旨に照らし,連合国国民の著作物を特に保護する規定としてアメリカ合衆国のベルヌ条約加入後も引き続き適用されるものである以上,ベルヌ条約が万国条約に優先するからといって,我が国国内法である万国条約特例法11条の適用が排除されるべきものではない。また,ベルヌ条約は,同盟国間において内国民待遇等の著作権保護を定める条約であるが,同盟国がベルヌ条約の規定を超えて連合国国民の著作物を保護することを禁止するものと解すべき根拠はないから,アメリカ合衆国国民の著作物について内国民待遇を継続する万国条約特例法11条がベルヌ条約に反するものではない。」
本件著作権のXに対する譲渡
11 「著作権移転の原因行為である譲渡契約の成立及び効力について適用されるべき準拠法は,法律行為の準拠法一般について規定する法例7条1項により,第一次的には当事者の意思に従うべきところ,著作権譲渡契約中でその準拠法について明示の合意がされていない場合であっても,契約の内容,当事者,目的物その他諸般の事情に照らし,当事者による黙示の準拠法の合意があると認められるときにはこれによるべきである。Xの主張する本件著作権の譲渡契約は,アメリカ合衆国ミズリー州法に基づいて設立された遺産財団が,我が国国内において効力を有する本件著作権を譲渡するというものであるから,同契約中で準拠法について明示の合意がされたことが明らかでない本件においては,我が国の法令を準拠法とする旨の黙示の合意が成立したものと推認するのが相当である。」
12 「著作権は,その権利の内容及び効力がこれを保護する国(以下「保護国」という。)の法令によって定められ,また,著作物の利用について第三者に対する排他的効力を有するから,物権の得喪について所在地法が適用されるのと同様の理由により,著作権という物権類似の支配関係の変動については,保護国の法令が準拠法となるものと解するのが相当である。・・・・・・そうすると,本件著作権の物権類似の支配関係の変動については,保護国である我が国の法令が準拠法となるから,著作権の移転の効力が原因となる譲渡契約の締結により直ちに生ずるとされている我が国の法令の下においては,上記の本件著作権譲渡契約が締結されたことにより,本件著作権は遺産財団からXに移転したというべきである。」
本件著作権の第三者への譲渡
13 「我が国著作権法上,YKは,本件著作権について,譲渡を受け,又は利用許諾を受けるなど,Xが本件著作権譲渡の対抗要件を欠くことを主張し得る法律上の利害関係を有しないから,Xは,YKに対し,対抗要件の具備を問うまでもなく,本件著作権を行使することができる。」
本件著作権の放棄
14 「元来,著作権は,各国ごとに成立要件,効力,保護期間等を異にするものであること,ローズ・オニール又はその承継人が本件著作権について明示的に放棄の意思表示をしたことを認めるに足りる証拠はないことに照らすと,ローズ・オニールがアメリカ合衆国法上本件著作権について更新手続を執らなかったことをもって,我が国における本件著作権を放棄したと評価することはできない。」
権利の失効
15 「権利を有する者が久しきにわたりこれを行使せず,相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至ったため,その後にこれを行使することが信義誠実に反すると認められるような特段の事由がある場合には,上記権利の行使は許されないとして,いわゆる失効の原則が適用される場合のあることは,判例とするところである(最高裁昭和30年11月23日第三小法廷判決・民集9巻12号1781頁,同昭和40年4月6日第三小法廷判決・民集19巻3号564頁)・・・・・・しかしながら,本件において,YKは,YKが現在に至るまで70年以上にわたりYK商標等を使用し続けてきたこと,ローズ・オニール及びその承継人が,その間,本件著作権の行使をしなかったことなどを主張するが,それだけでは,上記法理の適用により本件著作権の権利行使の不許ないし権利の消滅を根拠付けるに足りる事情ということはできないから,YKの主張は採用の限りではない。」
複製又は翻案
16 「二次的著作物の著作権は,二次的著作物において新たに付与された創作的部分についてのみ生じ,原著作物と共通し,その実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当である(最高裁平成9年7月17日第一小法廷判決・民集51巻6号2714頁)。これを本件についてみると,上記のとおり,本件著作物は,本件イラスト著作物中に描かれたキューピーイラストを原著作物とする二次的著作物であり,また,原著作物であるキューピーイラストを立体的に表現した点においてのみ創作性を有するから,立体的に表現したという点を除く部分については,キューピーイラストと共通しその実質を同じくするものとして,本件著作権の効力は及ばないというべきである。」
17 「本件著作物が原著作物であるキューピーイラストを立体的に表現した点においてのみ創作性を有し,その余の部分に本件著作権は及ばず,・・・・・・本件著作物において先行著作物に新たに付加された創作的部分はYKイラスト等において感得されないから,YKイラスト等は,本件著作物の内容及び形式を覚知させるに足りるものでもなく,また,本件著作物の本質的特徴を直接感得させるものでもないから,本件著作物の複製又は翻案物に当たらないことは明白である。」
18 「二次的著作物の著作権が原著作物に新たに付加された創作的部分についてのみ生ずることは,二次的著作物の著作権者が原著作物について著作権を有していることによって影響を受けないと解するのが相当である。」
職務著作
19 「Xが主張する本件著作権は,我が国における著作権であるが,職務著作に関する規律は,その性質上,法人その他使用者と被用者の雇用契約の準拠法国における著作権法の職務著作に関する規定によるのが相当であるから,YB主張の職務著作物該当性については,アメリカ合衆国法によることになる。1909年アメリカ合衆国著作権法は,『著作者』という用語は職務著作の場合における使用者をも含むと規定するにとどまっていたが,連邦最高裁判所の判例により,純然たる使用者と被用者の関係に限らず,法人等とその被用者でない者との関係においても,前者が後者に作品の制作を依頼した場合においては,一般に,このような依頼を受けた者は,著作権を当該作品自体とともに,依頼を行った者に移転する旨の黙示の合意をしたものと推定されていた(Community for Creative Non−Violence v.Reid,490U.S.730,109S.Ct.2166,2175(1989))。」
20 「ローズ・オニールは,本件イラスト著作物を発表した後,キューピーの人形を作ってほしいとの子供たちの手紙を受け取ったことから,戯れにキューピーの小さな彫像(本件著作物)を彫ったのであって,その制作について,レディース・ホーム・ジャーナル等から依頼を受けていたとは認められない。さらに,本件著作物は,上記認定事実に照らし,ローズ・オニールを著作者として公表されたと認められるのであり,上記出版社等の著作者名義で公表することが制作当初から予定されていたものとはいえない。したがって,本件著作物について,YB主張の職務著作物と認める余地はなく,本件著作権は,本件著作物の制作により,原始的にローズ・オニールに帰属したものというべきである。」

<評 釈>

1 本件著作物の創作性
 キューピー人形(本件人形)の著作物(本件著作物)はローズ・オニールが創作したものである。本判決は,キューピー人形の本件著作物を同一の著作者の先行作品を原著作物とする二次的著作物であるとした。先行する作品群の中から,原著作物は1909年12月の雑誌掲載のキューピーイラストであると特定した。
 著作物たり得る創作性は,表現に著作者の個性や人格の反映が認められるならば,その程度が僅少であっても表現の創作として認められる。従って本件人形の著作物性はキューピーイラストに始まるものではなく先行する1903年作品以降の創作的特徴が累積しているとみるべきであろう。
 原審もキューピー人形を二次的著作物であると位置づけたのであるが,原著作物を1903年作品《2》及び1905年作品であるとした。原審は,原著作物たる先行作品が1906年の日米著作権条約の発効以前に公表されているので日本著作権法の対象外のものとし,当時既に日本においては公有のものであったとした。従って本件人形の著作者には,二次的著作物としての創作的表現の保護は与えられるが,原著作物に由来する表現は公有に帰しているので保護されない。この法理は判旨16において指摘されているポパイ事件最高裁判決で示されている。
 本判決も本件人形を二次的著作物とした。その原著作物について,本判決は原審が原著作物として特定した1903年作品《2》及び1905年作品には本件人形との間の類似を認めず,ローズ・オニールの1909年の作品を原著作物として特定した。本判決が原著作物とする作品は,日米著作権条約の発効の後に公表されているので同条約の定める内国民待遇により日本でも旧著作権法の保護を受ける。
 本件人形自体の著作権の争いを解決するために,本件人形を二次的著作物とし,先行する作品中に原著作物を特定するという問題処理の方法は原審と同じである。原審が本件人形の原著作物とした先行作品は,当時既に日本で公有になっていたと原審は判断している。従って,二次的著作物としての本件人形の固有の創作部分のみについて侵害となる類似性判断を行った。原著作物と二次的著作物の関係に当てはめる処理方法は控訴審でも踏襲されている。
 控訴審も,本件著作物が二次的著作物として有する固有の創作的表現と同一又は類似の表現がYK,YBイラストやYK,YB人形において認められないとした。
 本件著作物には原著作物に由来する創作的表現が存在するのであるから,それがYK,YBイラストやYK,YB人形の表現と類似する可能性があるが,かかる原著作物に由来する創作的表現は本件審理の対象外に置かれている。Xが本件著作物の原著作物の著作権に基づく請求をしていないのがその理由である。
 Xは本件著作物の著作権者であるが著作者ではない。Xが本件著作物の著作権を譲り受ける目的は,本件著作物の利用であろう。譲渡の対象とされた本件著作権が,二次的著作物としての固有の創作に対応する著作権に限られるのは不自然ではないか。Xは,本件著作物の表現が,二次的著作物であろうと原著作物に由来する創作的表現であろうと,本件人形の全体表現を客体とする著作権を譲渡の対象にしたと解するのが自然ではないか。Xは本件著作物の利用に必要な著作権を有することの確認を求めたのではなかったか。

2 美術の著作物の該当性
 学説判例には,応用美術を意匠法の保護対象とし著作権法の保護対象ではないと説くものがある(注3)。本件人形も玩具工場で工業的大量生産されたものであるから,本件人形に旧著作権法は適用されないとYK,YBは主張する。
 本判決は,本件人形が金型を用いて大量生産されたとしても,ローズ・オニール自身が戯れに彫ったキューピーの小さな彫像(本件著作物)は,美術の著作物として制作されたとした。さらに本判決は,本件著作物は,キューピーイラストを原著作物とし,これを立体的に表現した二次的著作物であると位置づけている。
 本件のごとき金型による大量生産品の場合であっても,その完成品としての大量生産品の著作物性は判旨3のように,大量生産の準備として作成されたスケッチ,模型,設計図等の著作物を原著作物とし,それを立体的に表現した二次的著作物であると位置づけられる場合は多いであろう。
 量産品か,一品製作品かの違いが強調されるのは,有体物に着眼した評価に基づくものである。無体物たる著作物に着眼すれば,著作物は保護客体として著作権法の下で等価のものである。金型による大量生産品であるという理由で著作物性を否定することは,複製権を認める著作権法に矛盾し著作物の等価性を理解していない。
 判旨4が,米国著作権法の保護対象でないものに対する日米著作権条約による内国民待遇の射程が問題となる余地がないわけではない,とするのに同感である。ここでは,本件著作物が1903年米国著作権法によっても保護されることが明らかであるから,旧著作権法の下でも本件著作物は保護を受ける。
 判旨4の指摘する「日米著作権条約による内国民待遇の射程」は考察に値する問題である。
 内国民待遇を約する条約の下において,本国法が著作権の保護を拒否しているものに対し,他の条約国がそれを内国民待遇の対象として保護を与える義務があるのか。
 著作権法の目的は,著作者に創作を奨励すること及び著作物の利用により自国の文化の発展を図ることにある。米国においても同様の目的が考えられよう。知的財産の保護には国際的な広がりが必要であるが,いずれの国も自国の保護制度を他国において貫徹することは不可能である。この観点から,国際条約により内国民待遇を約することは次善の策である。条約に内国民待遇を規定することにより,自国の保護は事実上他国における保護内容にまで拡大されることになる。
 自国法による保護が他国法を上回る場合に内国民待遇を実施することは,上回る部分について自国民は他国民のために一方的負担を負うことになる。条約加盟国は,他国において自国以上の大きな保護を得ることは意図していないと考えるのが合理的である。
 理念上は,本国法の著作権の客体として保護されていることが,他国において内国民待遇の保護を受けるための要件とされることが望ましい。ベルヌ条約はこの理念を反映し,本国法の著作権の保護期間が短い場合や本国法が応用美術を著作権の保護客体としない場合には,他の加盟国における内国民待遇の保護を要求していない。
 内国民待遇とは,他国民を自国民と同一に保護すべきことであると,その語義のみをもって解するのではなく,いささかの考察を試みたい。国際的保護を実現していくための内国民待遇の原則は,各国の保護法制が異なり保護内容が相違することを当然の前提としている。しかし本国法が保護を拒否しているものにまで,他国が内国民待遇の対象として保護を与えることに合理性はないであろう。

3 著作権表示の要否
 判旨4と同様に,米国著作権法の下において保護されない著作物を,日米著作権条約による日本国の内国民待遇として保護する義務があるのか問題の余地がある。著作権表示を保護要件としていた米国著作権法の下でも,著作権表示の欠落に対する救済措置が規定されていた。ベルヌ条約は無方式を標榜している。ベルヌ条約18条1項の解釈として,著作権表示の欠落によって著作権の保護を失った著作物も,ベルヌ条約の下で保護対象とすることは明らかと解されている(注4)。判旨6も,著作権表示の欠落があったとしても旧著作権法下の本件著作物の保護を是認している。日米著作権条約による内国民待遇の内容をどう解釈するか本件では争われていない。

4 意匠特許の取得
 判旨7は意匠特許の取得により米国著作権が消滅していたとしても,旧著作権法下の本件著作物の保護は是認されるものとしている。
 判旨4では,米国著作権法が保護の対象としていないものを,日本国著作権法の下で内国民待遇により保護することについての疑問が指摘されていたが,この判旨7は,米国著作権が消滅しても日本国著作権法の保護を是認する。判旨4と判旨7の論理はどのように調和するのか。

5 著作権の保護期間
 本件人形の米国著作権の保護期間は米国の1909年著作権法の下で著作権登録から28年間すなわち1941(昭和16)年11月20日で満了する。更新手続をすればさらに28年間の保護期間が与えられる。更新手続はされなかったようである。
 日本の旧著作権法の定める保護期間は,1899(明治32)年法において創作時から著作者の死後30年間であった。この保護期間は1962年4月5日から33年間に,1965年5月18日から35年間に,1967年7月27日から37年間に,1968年12月8日から38年間に延長されている。1971年1月1日からは現行著作権法の下で著作者の死後50年間の保護期間が適用される。
 Yらは,米国がベルヌ条約加盟国であるから著作権法58条が適用されることになり米国法の下で本件著作物の保護期間が満了する1941年11月20日で,日本における本件著作権は消滅すると主張した。裁判所は,本件著作物には万国条約特例法(万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律 昭和31年4月28日法律第86号)11条の適用があるとして,この主張を退けている(判旨10)。
 米国のベルヌ条約加盟により,本件著作物に著作権法58条を適用することになれば裁判所の憂うるとおり既得権益の喪失をもたらす。むしろ日米著作権条約の定める内国民待遇の法理として,本国法で保護されないものは相手国でも保護することを要しないという条理が内在していると解すべきである。判旨10のとおり,米国国民の著作物を特に優遇して保護することはベルヌ条約に反しないが,TRIPs協定の下で最恵国待遇の義務を負うことになろう。
 本件人形の著作者であるローズ・オニールは1944年4月6日に死去した。本件人形の著作物に対し,日本著作権法の定める保護期間である著作者の死後50年間を適用すれば,その保護は1994年12月31日で満了する。本判決は3794日の戦時加算(注5)の結果として2005年5月6日に満了するとした。戦時加算の適用方法に対する小さな疑問を後述する。本判決のように加算するとして,1995年1月1日から2004年末までの10年間に,‘96,‘00,‘04,の3ヵ年は閏年であるから,この10年間の全日数は3653日である。残る戦時加算の141日を数えると,2004年5月21日で満了するが,判決は,5月6日という。
 この戦時加算は,平和条約15条(c)項に「・・・・・・権利の通常期間から除算し・・・・・・なければならない。」(・・・the period・・・shall be excluded from the running of the normal term of such rights;・・・)と定められていることに由来する(注6)。戦時加算の意味は,この平和条約が締結された時の旧著作権法の著作権の保護期間の進行を停止させているにすぎないと考えるべきであった。
 旧著作権法の保護期間による保護は,新著作権法の保護期間に吸収されている。新著作権法施行後も旧著作権法の保護期間によるほうが長い場合は,例外として旧著作権法の保護期間が適用される(著作権法附則7条)。
 本件著作権の旧著作権法の保護期間に戦時加算すべしとの解釈に立てば,戦時加算された旧著作権法の保護期間か,新著作権法の保護期間か,著作権法附則7条によりいずれか長いほうが適用されることになる。
 連合国特例法は,平和条約15条(c)項が要求している「権利の通常期間から除算」を当時の旧著作権法の著作権存続期間から除算するのではなく,新著作権法の保護期間に加算すべきものとの解釈に立っている。日本の立法者が何故自国に不利な解釈を採用したか。
 米国で本件著作物に対する保護期間は,1941(昭和16)年11月20日で満了している。更新されたとしても1969年11月20日で満了している。本国で保護されなくなったものを内国民待遇で日本において保護する必要があるのか。
 万国著作権条約の下で著作物の保護は不遡及が原則である。万国条約特例法は次の附則2により不遡及の原則を定めている。
  「この法律(第11条を除く。)は,発行されていない著作物でこの法律の施行前に著作されたもの及び発行された著作物でこの施行前に発行されたものについては,適用しない。」
 しかし,「第11条を除く。」とする括弧書きにより,同法11条は同法施行前に著作された著作物にも適用される。同11条は次のとおり。
  「第11条 日本国との平和条約第25条に規定する連合国でこの施行の際万国条約の締約国であるもの及びその国民は,この法律の施行の際日本国との平和条約第12条の規定に基づく旧著作権法(明治32年法律第39号)による保護を受けている著作物については,この法律の施行後も引き続き,その保護(著作権法施行の際当該保護を受けている著作物については,同法による保護)と同一の保護を受けるものとする。」
 旧著作権法の下で,どのような保護が与えられていたのかを明確にしておく。次のとおり旧著作権法28条は,国外で発行された外国人の著作物の保護には条約の定めを必要としている。
  「第28条〔外国人の著作権〕外国人ノ著作権ニ付テハ条約ニ別段ノ規定アルモノヲ除ク外本法の規定ヲ適用ス但シ著作権保護ニ関シ条約ニ規定ナキ場合ニハ帝国ニ於テ始メテソノ著作物ヲ発行シタル者ニ限リ本法ノ保護ヲ享有ス」
 本件著作物は米国において発行されたものであるから,旧著作権法の下の保護を得るには条約の定めが必要である。その条約として,1906年の日米著作権条約,1952年の「日本国との平和条約」がある。日本国との平和条約12条は,日本国は同条約の最初の効力発生時から4年間連合国民の著作物に対して内国民待遇の保護を与えることを規定している。この4年間は1956年4月27日で満了する。万国条約特例法は,1956年4月28日に施行され,同法11条により平和条約下の4年間の「その保護と同一の保護」が引き続き旧著作権法の下に与えられることとなった。最早条約上の保護義務がなくなっているにもかかわらず,万国条約特例法11条の下に引き続き保護されることになった。
 現行著作権法の下に保護されるべき著作物は,同法6条に定められている。
  「著作物は,次の各号のいずれかに該当するものに限り,この法律による保護を受ける。
  1.日本国民の著作物
  2.最初に国内において発行された著作物
  3.前2号に掲げるもののほか,条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」
 現行著作権法は1970年5月6日に公布され,1971年1月1日から施行されている。万国条約特例法11条の定める「その保護」とは,旧著作権法の下での保護である。しかるに,特例法11条は「その保護」の語句に括弧つきの文言を付して,(著作権法施行の際当該保護を受けている著作物については,同法による保護)としている。現行著作権法は6条3号により条約上の保護義務を条件にしているから,本件著作物は「著作権法施行の際当該保護を受けている著作物」に該当しない。「その保護」と同一の保護は,実はないことになるのか。万国条約特例法には,「著作物の保護期間の特例」及び「翻訳権に関する特例」が示されているが,現行著作権法6条3号の適用を排除するという特例は示されていない。
 1906年の日米著作権条約は内国民待遇を約するが,その内容は全く規定されていない。同条約の文言は簡潔であり,既に締結から97年が経過している。条約を履行するための法律も制定されていなかったようである。特別の議論もなく今日に至っている。それだけに日米著作権条約の内国民待遇の内容は,語義どおりに解釈するにとどまらず本質論に立って究明されるべきである(注7)

6 複製又は翻案
 本判決は,本件著作物を二次的著作物として位置づけ,二次的著作物の著作者による創作的表現のみに着眼し,かかる創作的表現の類似がYKイラスト,YK人形,YBイラスト,YB人形の表現上認められないとし,二次的著作物の著作者の著作権は侵害されていないとした。
 しかし,原著作物の著作者の著作権は侵害されているかもしれない。二次的著作物としての本件著作物に残留している原著作物たるキューピーイラストの創作的表現との類似の有無は,審理されていない。審理されていない理由を本判決は,Xが原著作物の著作権に基づく請求をしていないからであると述べている。
 二次的著作物の著作者も原著作物の著作者もローズ・オニールであり,その著作者の遺産財団からXは本件著作物の著作権を譲り受けている。本判決は,本件著作物の著作権としてXが二次的著作物の著作者の著作権を有することを認めたにとどまる。部外者には理解できない不自然な話であるが,一般論として,二次的著作物の著作権を譲り受けるときには,原著作物の著作者の著作権も譲り受けておくことを忘れるなという警鐘である。
 著作物は表現であり,表現における著作者の創作を保護するために,著作者の権利が認められている。従って複製権侵害又は翻案権侵害の争いでは,表現の創作的部分に着目して同一性又は類似性(以下類似性)が判断されることになる。この類似性は創作の類似である。似るはずのないものが似ている場合に,侵害が推定される。似るべくして似ている場合には,侵害は推定されない。
 本件において,本件著作物とYK,YB人形は似るべくして似ているのであろうか。YK,YB人形及びYK,YBイラストが本件著作権を侵害しないとされたのは,判旨16の理由により,Xの著作権の客体たる本件著作物の創作部分が無いに等しいからである。
 判旨17は,Yらの複製物に本件著作物の創作的表現との類似が認められないことを,「本件著作物の内容及び形式を覚知させるに足りるものでもなく,また,本件著作物の本質的特徴を直接感得させるものでもない」と述べる。意味するところは同じである。判旨17の記述は難解である。判旨17の用語の「内容」は,著作物から排除されている思想や感情を含むと解されてはならない。「著作物の本質的特徴」とは創作的表現のことである。著作権法2条が著作物の定義において「創作」の語を用いている。旧著作権法の条文中には「創作」の語はみられない。旧著作権法下の判例では,「表現形式上の本質的特徴」の語を用いていた。旧著作権法下の用語を廃止し「創作的表現」の語に改めていただくのがよいのではないか。「覚知」と「直接感得」がどのように違うのか。「直接感得」の「直接」の語も,直接か間接かの論理的区分から用いられているわけではなく,内容ではなく表現から得られる認識という意味合いから直接の語を用いたのであろう。いずれにしても裁判官は「創作的表現」の類似の有無を自ら確かめずには判決ができないのであるから,「覚知」や「直接感得」は創作的表現の類似の有無を裁判官が認めるか認めないかの問題であろう。「覚知」,「直接感得」,「認められる」はここでは同義であると思う。

7 職務著作
 従業者が職務上著作した場合の著作物の利用を巡って,どのように従業者と使用者の調整をするのがよいのか。この調整には法律による立法的調整と契約による当事者間の調整がある。
 日本著作権法15条には,職場上作成された著作物の著作者を使用者とする場合が規定されている。著作者が誰かは事実の問題である。判旨19は,職務著作に関する規律は,その性質上,法人その他使用者と従業者の雇用契約の準拠法国における著作権法の職務著作に関する規定によるのが相当であるとする。雇用契約の準拠法国は従業者ごとに異なり得る。
 著作者が誰かは事実の問題であり著作者の権利の発生の起点である。著作権の移転の問題ではない。著作者が誰かを決める法は著作物創作地国法である。国際条約により著作物は国際的広がりのもとに利用される。事実は一つである。著作者が誰であるかが準拠法によって異なる結果を生むことは避けたい。



(のいしき いさを:阪南大学経済学部教授    
兼大学院企業情報研究科教授)


 明治39年5月10日公布「第1条 両締約国ノ一方ノ臣民又ハ人民ハ文学及ヒ美術ノ著作物並写真ニ付他ノ一方ノ版図内ニ於テ其ノ国ノ臣民又ハ人民ニ許与セラルル保護ト同様ノ基礎ニ於テ不正ノ複製ニ対シ著作権ノ保護ヲ享有スヘシ但シ本協約第2条ノ規定ニ遵由スヘシ」
 原審判決について:岡邦俊「続・著作権の事件簿(25)(キューピー著作権事件判決)」JCAジャーナル47巻11号・2000/11 44頁
 社団法人著作権情報センター附属著作権研究所 著作権研究叢書No.9「著作権法と意匠法との交錯問題に関する研究」2003年 特に「学説の分析」154〜162頁参照
 Sam Ricketson,“The Berne Convention for the protection of literary and artistic works:1886−1986”Kluwer 1987,671頁
 戦時加算は,第二次世界大戦中の交戦国国民は交戦相手国の著作権を行使できなかったので,保護期間の進行からその期間を除算することが約された(平和条約15条)。日本国民が交戦相手国の著作権を行使できなかった期間相当の除算は約されていない不公平な措置である。加戸守行(「著作権法逐条講義三訂新版」著作権情報センター2000年340頁)は,同じ敗戦国のイタリアやドイツには,このような一方的な義務負担がなかったことに言及し,「日本だけが馬鹿正直に一方的な義務を負っているわけでございます。」という。
 第61回国会衆議院文教委員会(昭和44(1969)年6月11日開催)会議録22号57頁法貴参考人発言参照
 本判決における本件著作物の保護期間に関する判旨を正当とするものに,駒田泰士「判例研究キューピー事件」著作権研究No.27,2000年275頁